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現時点で最も薄毛改善に効果的な治療法は内服薬(ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリド)を使った治療というのは他の記事でも解説している通りなんだけど、実は薄毛治療の教科書的存在の日本皮膚科学会ガイドラインでは、それら以外の薄毛治療法について明記されているんだ。
ということで、今回はガイドラインの内容を解説しつつ、内服薬(ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリド)以外の効果的な薄毛治療法について解説する。
この記事を読むことで得られる情報
- 内服薬以外の効果的な薄毛治療法について理解できる。
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【結論】内服薬以外の薄毛治療法は6種類
先に結論なんだけど、現時点で内服薬以外に効果的な薄毛治療法は下記の6種類。
- 自毛植毛
- LED及び低出力レーザー照射
- アデノシン外用薬
- カルプロニウム塩化物外用薬
- t-フラバノン外用薬
- ケトコナゾール外用液
ということで、何を参考にこの結論に辿り着いたのかを解説していく。
薄毛治療の教科書
まず、今回参考にしたのが日本皮膚科学会が作成した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」。
このガイドラインは、頭皮と毛髪の専門家が現時点で薄毛改善が示唆されている14種類の治療法をそれぞれ5段階評価したもので、いわば薄毛治療の教科書的存在なんだ。
ということでここからは、ガイドラインの記載内容に合わせて、内服薬以外の効果的な治療法について解説する。
14種類の薄毛治療法と推奨度一覧
そこでまず、ガイドライン内に記載されてある治療法14種類とそれぞれの推奨度合いを1つの表にまとめた。
治療法 | 推奨度の分類 | 推奨度合い |
フィナステリド内服薬 | A | 行うよう強く勧める |
デュタステリド内服薬 | A | |
ミノキシジル外用薬 | A | |
自毛植毛 | B | 行うよう勧める |
LEDおよび低出力レーザー照射 | B | |
アデノシン外用薬 | B | |
カルプロニウム塩化物外用薬 | C1 | 行っても良い |
t-フラバノン外用薬 | C1 | |
サイトプリンおよびペンタデカン外用薬 | C1 | |
ケトコナゾール外用液 | C1 | |
カツラの着用 | C1 | |
ビマトプロストおよびタラノプロスト外用薬 | C2 | 行わない方がよい |
成長因子導入および細胞移植療法 | C2 | |
ミノキシジル内服薬 | D | 行うべきではない |
推奨度は「A, B, C1, C2, D」の5段階で、一番右側の列が各推奨度合いの定義。
「C2:行わない方がよい」と「D:行うべきではない」の違いが少しわかりづらいんだけど、それぞれの定義は下記。
C2:行わない方が良い
- 有効なエビデンスが無い
or
- 無効なエビデンスがある
D:行うべきではない
- 無効もしくは有害である事を示す良質なエビデンスがある
ちなみに、5段階評価の良否は参照している研究の信憑性を基に推奨度が設定されている。推奨度の細かな定義に関してはガイドラインの2ページ目を参照してほしい。
既に、ここまででもかなりの情報量なんだけど一旦情報を整理したい。
まず、フィナステリドとデュタステリドの内服薬、ミノキシジル外服薬はA評価という事で納得。
それとは反対に俺の中で新たな疑問点が2つ生まれた。
- フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル以外に有効的な薄毛治療法があること
- 成長因子治療とミノキシジル内服薬治療が非推奨な治療法として分類されていること
そこでここからは、下記について解説していく。
- フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル以外の有効的な薄毛治療法
- 成長因子治療とミノキシジル内服薬が非推奨な治療法として分類されている理由
まずは2つ目から解説する。
成長因子治療が非推奨な理由
まず、 成長因子治療が非推奨な理由から。
成長因子治療というのは発毛に効果的な有効成分を直接頭皮に注入する治療法で、クリニックでは「メソセラピー」の名前で提供されている。
メソセラピーは以前、別記事で解説した通り、臨床研究では発毛効果がある事はわかっているんだけど、ガイドライン上では非推奨。
その理由はガイドラインによると「成長因子治療は先進医療の段階にあり、安全性を含めその有効性が十分に検証されていない」とのこと。
ちなみに成長因子治療「メソセラピー」について詳しく解説した記事は下記。
ミノキシジル内服薬が非推奨な理由
次に、ミノキシジル内服薬が非推奨な理由なんだけど、ガイドラインに記載されている内容を要約すると下記。
- 臨床試験が実施されていない
- 多毛症を始めとした複数の副作用の恐れがあるため
臨床研究と臨床試験の違い
じゃぁそもそも臨床試験とは?に加えて、先述のメソセラピー部分で触れた「臨床研究」との違いは何なの?て話なんだけど、わかりやすくまとめると下記。
臨床研究
- 人を対象にした研究全般
- 病気の原因を追求することが目的
臨床試験
- 治療の効果を診察し、病気や症状が回復しているか確認
後、これが新薬の効果を確認することを目的としている場合、「治験」といって厚生労働省から承認してもらう段階があったりする。
ちなみに臨床研究、臨床試験、治験は「臨床研究」→「臨床試験」→「治験」の順番で行われる。
話を戻すと、現時点でミノキシジル内服薬治療は臨床研究までしか行われていない現状。
とはいえ、ミノキシジル内服薬はすべてのAGAクリニックで処方されていること、自分も3年間内服を継続して発毛に成功していること、これらの2点を踏まえると、ミノキシジル内服薬治療がD評価されている事に関しては色々と引っかかる点があるんだけど、それらはあくまでも結果論。
なんだかんだミノキシジル内服薬を使った薄毛治療は自己責任という事に関しては変わりない。という事で俺は今後もミノキシジルの内服を継続する。
ちなみに俺が服用している治療薬と薄毛治療の経過報告をまとめた記事は下記。
加えて、治療薬はクリニックで処方してもらいたい人は下記を参考にしてほしい。
内服薬以外の薄毛治療法
ここから、やっと本題。
今回は、内服薬以外の治療法についての解説。
そこで、 フィナステリド、デュタステリド内服薬を使った薄毛治療は推奨度Aという事で、今回は推奨度「B:行うよう勧める」と「C1:行ってもよい」の治療法について解説していく。
A:行うよう強く勧める
B:行うよう勧める
C1:行っても良い
C2:行わない方がよい
D:行うべきではない
「行うよう勧められている」治療法【3種類】
「推奨度B:行うよう勧められている」治療法は下記の3つ。
- 自毛植毛
- LEDおよび低出力レーザー照射
- アデノシン外用薬
1つずつ解説していく。
①自毛植毛
自毛植毛は自分の後頭部の上部な毛髪を患部に植毛する治療法で、2015年度には世界全体で397,048件の自毛植毛事例があり、生着率も82.5%以上と高いことが分かっているんだ。
ちなみに生着率というのは移植して以降、一定期間患部が問題なく機能している割合のこと。
自毛植毛の治療費は移植する毛髪量によって変動するんだけど、いくつかのクリニックを参考にすると、500グラフトの相場は約30~40万円。(1グラフトは毛根1株のことで毛髪2~4本)
そこで、国内で自毛植毛を実施しているクリニックと治療費は下記。
クリニック名 | 価格 | メモ |
AGAスキンクリニック | 明記無し | - |
TOMクリニック | ¥429,000 | 500グラフト |
湘南美容クリニック | ¥360,000 | 500グラフト |
¥288,000 | 500グラフト モニタリング価格 | |
新宿AGAクリニック | ¥275,000〜 | - |
ちなみに自毛植毛とは別で、「人工植毛」といって人工の毛髪を患部に移植する治療法があるんだけど、人工植毛は安全性が十分に担保されていないということで、「D評価:行うべきではない」とされている。
②LEDおよび低出力レーザー照射
画像元:https://note.com/hairtive_kyoto/n/n2cc27f08d839
次はLEDおよび低出力レーザー照射。これは皮膚に微弱なレーザー光を当てて、細胞を活性化させる事で発毛を促す療法。痛みと副作用がないことが特徴。
この治療法は現段階で国内では未承認なんだけど、薄毛治療は自由診療なのもあり国内の一部のAGAクリニックでは施術を行っている所もある。
ちなみに医療においての「未承認(薬・療法)」というのは海外で承認されていながら、国内では承認されていない療法のこと。
国内でLEDおよび低出力レーザー照射治療を受ける手段と、その価格をまとめたのは下記。
サービス提供元 | 商品名 | 価格 | メモ |
AGAスキンクリニック | ホームケア商品「LED照射器ヘアビームAir」 | ¥250,000 | 6ヶ月未満 |
ホームケア商品「LED照射器ヘアビームα」 | ¥160,000 | 6ヶ月未満 | |
楽天市場 | LED赤色光育毛ヘルメット | ¥35,980 | - |
後、発毛に効果的なレーザーの強度は研究によって様々なんだけど、ガイドラインでは655nmの低出力レーザーを週に3回照射したところ、6ヶ月後に1cm2あたりの毛髪が19.8本増加した報告があるから参考にしてほしい。
③アデノシンの外用薬
次はアデノシン外用薬。
アデノシンは細胞で生成されるエネルギー代謝に関わる物質のことで、アデノシンの外用薬(ローションタイプ)を頭皮に馴染ませる事で髪の毛を太くする働きがあることが分かっているんだ。
ちなみにアデノシン0.75%配合ローションをミノキシジルと併用した時の効果は、アデノシン0.75%配合ローションのみの使用時と差異がなかったことが分かっているからミノキシジルとの併用による相乗効果はない。
アデノシン配合のローションは下記。
ということで、ここまでが「推奨度B:行うように勧められている」治療法についての解説。
「行ってもよい」治療法【5種類】
次に「推奨度C1:行っても良い」 といわれている治療法について。
該当する治療法は5つ。
- カルプロニウム塩化物
- t-フラバノンの外用薬
- サイトプリンおよびペンタデカンの外用薬
- ケトコナゾール
- かつら
かつらが含まれているのは意外だけど、それぞれ解説していく。
①カルプロニウム塩化物外用薬
カルプロニウム塩化物は局所血管拡張作用があって発毛効果があることが分かっている治療法。
研究ではカルプロニウム塩化物5%と10%の外用薬を使った場合の効果として、診療実績を元にいずれも発毛効果が確認されていて、10%の外用薬ではより効果が高かったことが分かっているんだ。
国内でカルプロニウム塩化物の外用薬を入手する方法とその価格をまとめたのは下記。
クリニック名 | 商品名 | 価格 | メモ |
DMMオンラインクリニック | カルプロニウム塩化物外用液5% | ¥4,268 | 3本(3ヶ月分)まとめ買い時の価格 |
オオサカ堂 | カルプロニウム塩化物外用液5%/1本 | ¥3,167 | - |
②t-フラバノン外用薬
t-フラバノンは化粧品を中心に商品開発している花王が開発した発毛効果成分なんだけど、使用から4~6ヶ月で抜け毛の減少とともに、発毛効果があることがわかっているんだ。
t-フラバノンを含む外用薬は市販でも多く取り扱われていてAmazonで購入できるものとしては、下記。
③サイトプリンおよびペンタデカン外用薬
サイトプリン、ペンタデカン外用薬は抜け毛の減少と育毛効果があると言われているんだ。ちなみに育毛というのはすでに生えている髪の毛を太くする作用のこと。
サイトプリン、ペンタデカンを含む外用薬は 少し前までライオンが商品の販売を行ってたんだけど、現在は製造終了していて入手するのは困難そう。
④ケトコナゾール外用薬
ケトコナゾールは、頭皮に発生する悪い菌の繁殖防止効果があって、研究ではケトコナゾールを含むシャンプーを21ヵ月間使用したところ、6ヶ月目から15ヶ月目にかけて、髪の毛が太くなったと同時にヘアサイクルが正常な髪の毛が増えたことがわかっている。
ケトコナゾールを含むシャンプー製品については、調べた限り市販での取り扱いは見当たらなかったんだけど、個人輸入サイトでの取り扱い有。
⑤カツラの着用
いわゆる頭皮に直接装着する人工毛。
もちろん、カツラは根本的な薄毛の改善ではなく、見た目に限定した対処法なんだけど、ガイドラインではカツラを使用したことがある患者のアンケート結果で、生活の質を示すQOLが向上したと回答した人が多かったということで紹介されている。
以上、 ここまでが推奨度「推奨度C1:行っても良い」 といわれている治療法についての解説。
内服薬を使いたくないならおすすめの治療法
ということで今回は、日本皮膚科学会ガイドラインをもとに内服薬以外の効果的な薄毛治療法について解説した。
もちろん、最も効果的な治療法としてはガイドライン内でA評価がされている下記の3つだけど、
- フィナステリド内服薬
- デュタステリド内服薬
- ミノキシジル外服薬
内服薬を使った治療に抵抗がある場合は、「B:行うよう勧める」と「推奨度C1:行ってもよい」に該当する下記の治療を検討するのが最適。
ちなみにサイトプリンとペンタデカンは該当する商品が見当たらなかったのと、かつらは根本的な薄毛改善の対処にはならないという事で除外した。
ということで、この記事が今後の薄毛治療における参考になれば嬉しい。
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